NEWS_CIT_No683
5/10

 先端材料工学科4年(受賞当時)の西村美咲さんが3月14日に第187回日本鉄鋼協会学生ポスターセッション優秀賞を、3月22日に第32回日本鉄鋼協会・日本金属学会奨励賞を受賞しました。研究テーマ「Fe系合金融体の表面張力の推算と実測」では、組成や環境条件によって複雑に変化する多元系合金融体の表面張力を、純金属融体の表面張力を基にして正確に推算するモデルの構築に挑戦。この研究は、溶接や積層造形(3Dプリンティング)などの高温融体プロセスの最適化や未知現象の解明に大きく寄与することが期待されます。西村さんは「指導教員の小澤先生、共同研究者の栗林先生(附属研究所)、そして多くの先輩方の支援と励ましのおかげです」と感謝の意を述べました。情報工学科 信川 創 教授 未来ロボット技術研究センター(fuRo)の保坂謙史郎・客員研究員が代表を務めるロボット開発(株)ワークロボティクスが、千葉県内のベンチャー企業を支援する公益財団法人「ひまわりベンチャー育成基金」の2023年度下期・助成金交付先に選ばれ、2月7日、交付式が行われました。ワークロボティクス社は本学から技術移転を受けた狭隘空間点検ロボットの改良などに取り組んでおり、天井裏や高速道路の裏面吸音板、歩道橋など点検困難とされていた場所の点検を可能にするほか、一部解体や足場構築も不要になることで大幅な点検コスト削減につながると見込まれ、将来は全国の自治体が管理する歩道橋の点検など、市場規模の大幅な拡大に期待が寄せられています。 情報工学科の信川創教授らの研究グループが、代表的な認知症であるアルツハイマー病の神経ネットワークにおける活動異常をとらえることに成功しました。同研究は脳の神経ネットワークの変質と認知機能低下が密接に関連していることを明らかにしたもので、研究成果は今年の1月2日に英科学雑誌「Scientific Reports」で発表されました。 信川教授らの研究グループは、単一の要素である神経細胞が1000億個以上も相互に結合している脳の領野間で活動が先行または後退する現象を定量化することで、神経ネットワークにおける情報の発信・受信状態を数種類のパターン(瞬時周波数に基づくマイクロステート・IF マイクロステート)に分類できることを発見。IF マイクロステートの時間的変遷を解析し、神経ネットワーク変質と認知機能低下が密接に関連していることを突き止めたということです。 神経ネットワークは、神経活動の各領野での同期や情報流によって定義された機能的なネットワークで、その変動は「神経ネットワークダイナミクス」と呼ばれ、信川教授らは、認知※信川教授らの研究グループは、金沢大学子どものこころの発達研究センターの池田尊司准教授、金沢大学医薬保健研究域医学系の菊知充教授、金沢大学子どものこころの発達研究センター協力研究員の高橋哲也氏で構成されています。 機械工学科の瀧野日出雄教授が3月13日に行われた精密工学会創立90周年記念式典において、功労賞を受賞しました。瀧野教授は、会誌編集委員や事業部企画委員会委員、広報・情報部会長、理事を歴任するなど、長年にわたり同会の発展、運営に貢献されてきました。今回の表彰を瀧野教授は、「精密工学に関する学術や産業の発展に微力ながら貢献したことが評価され、身に余る思いです。ご協力頂いた方々にも深く感謝いたします。今後、精密工学会がさらに発展してくことを願っています」と喜びを語りました。※精密工学会は、精密工学に関する学術・技術の振興をはかり、研究者・技術者の質的向上と科学技術情報の発信により、社会の発展に寄与することを目的に設立された公益法人。症は脳の領野間の相互作用が病態の進行によって減少し、神経ネットワークのダイナミクスによって直接的に現れるとの仮説を立てて研究してきたといい、IF マイクロステート解析をアルツハイマー病の16人、健常者18人の脳波データに対して適用し、動的特性を評価した結果、アルツハイマー病では後頭先行状態の出現頻度が有意に少ないことなどが明らかになったということです。 今後は、脳波の瞬時周波数によって特徴づけられるマイクロステートを新たに開発することによって、従来の問診を主とする診断に加え、簡便な脳波を利用した早期診断やケアを補助するバイオマーカの実現につながると期待されています。先端材料工学科の西村美咲さんがダブル受賞先端材料工学科 西村 美咲 さん [小澤 俊平 研究室]ひまわりベンチャー育成基金fuRo 保坂研究員に瀧野日出雄教授に功労賞 精密工学会研究成果・受賞5信川教授がアルツハイマー病における神経ネットワークの活動異常を捉えることに成功

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る