千葉工業大学 大学案内2026
19/128

4Chiba Tech建学の精神/教育目標/アドミッションポリシー学長メッセージ千葉工業大学の事実学部学科工学部ナビゲーター創造工学部先進工学部キャンパスライフクラブ・サークル/学費・奨学金入試結果アクセスマップ情報変革科学部未来変革科学部大学院サポートChiba TechFACTS詳細はこちら019熱電材料で地球温暖化の防止をめざす環境にやさしいプラスチック材料の開発学生の多様な特性を考慮したハイブリット講義の実施工学部 先端材料工学科齋藤 哲治 教授工学部 応用化学科菅根 海人 助教先進工学部 知能メディア工学科宮田 高道 教授持続可能な世界をつくる上で欠かせない工業技術の研究や、そのために必要な教育を推進するとともに、運営に際しても再生可能エネルギーの導入を行うなど、省エネルギー化にも努めています。 これまで人間は経済を成長させるために、石油や石炭などの化石燃料を燃やしてエネルギーを取り出してきました。その結果、大気中の二酸化炭素濃度は産業革命間に比べて40%も増加しています。二酸化炭素が地上から放射される熱を吸収するため大気が温まり、地球温暖化が促進されていると考えられています。地球温暖化によるここ数十年の気候変動は、温度の上昇、気候変動、海面上昇、異常気象など、生態系や人類の生存にさまざまな影響をおよぼしています。そのため、地球温暖化の主な原因である二酸化炭素などの温室効果ガスの削減が喫緊の重要な課題となっています。 化石燃料を使用すると二酸化炭素が発生しますが、化石燃料エネルギーのうち70%以上が未利用のまま大気中に廃熱として捨てられています。この廃熱をエネルギー資源として有効活用することが、二酸化炭素の排出量の削減とエネルギーの有効活用のカギとされています。私たちが取り組んでいる熱電材料は、この廃熱を直接電気に変換(熱電発電)できるという特徴があります。 先端材料工学科では、新しい熱電材料として、環境にやさしく、比較的コストが安く、機械的強度も高い鉄をベースとした鉄系熱電材料の開発を行っています。高い熱電発電効率を有し、どこでも使用できる新しい熱電材料が開発されれば、日本の温室効果ガス削減目標の約25%を熱電材料による廃熱からのエネルギー回収で削減でき、地球温暖化の防止に貢献できると考えられています。 普段使用しているプラスチックのほとんどは石油由来でできており、プラスチックごみやマイクロプラスチック、また化石資源の枯渇や温室効果ガスの排出などが問題視されています。そこで環境にやさしいプラスチックとして、「バイオマスプラスチック」や「生分解性プラスチック」が注目されています。 私たちが注目しているのが、「海洋生分解性プラスチック」です。このプラスチックは、海洋中でも微生物の働きによって、最終的に二酸化炭素と水に分解される性質を持っています。私たちは有機合成技術によってさまざまな分子構造を持つプラスチックを合成し、さらに実際に海水を用いて海洋生分解性試験を行うことで、プラスチックの分子構造と海洋生分解性との関連を調査する研究を行っています。将来的にはプラスチックの海洋生分解性メカニズムを明らかにし、新たな生分解性プラスチックの開発につなげていきたいと考えています。 さらに、「バイオマスプラスチック」であるポリ乳酸は、高い力学強度を有している一方で、硬くて脆いという性質があるため物性の改善が課題となっています。一般的には、ポリ乳酸と他の柔らかいプラスチック成分を混ぜることでポリ乳酸の物性を改善する研究が行われています。一方、この柔らかいプラスチック成分には石油由来の物質が使われることが多く、ポリ乳酸を使用しているにも関わらず肝心の植物由来の成分の割合が低下してしまうという懸念がありました。私たちは植物油から得られる新しいプラスチック成分に着目し、オールバイオベースでのポリ乳酸の物性改善に成功しました。 知能メディア工学科の専門科目である「情報理論」「画像処理基礎」「画像処理応用」では、コロナ禍で実施していたフルオンライン講義で得られた知見をいかし、現在も対面を中心としつつオンライン講義資料を多数準備したハイブリッド型の講義を継続しています。これは、専門科目を受けている学生から「ノートを取ることに意識が集中してしまい講義が聞けない」「一度聞いただけでは理解できないことがあるので、繰り返し同じ内容を受講したい」というコメントや要望を受け取ることが多くなったことに対応するもので、多様な特性を持つ学生も安心して学びに取り組めるということを重視していることからSDGsゴールの一つである「質の高い教育をみんなに」と関係した取り組みであるといえます。 講義は、私がタブレット端末に板書をリアルタイムで書き込む様子をスクリーンに表示する形態で行っており、講義の板書と音声をすべて録画し、ノートや配布資料のすべてを学習管理システム上で当日中に公開することで、講義時、十分に理解できなかった学生の学び直しを支援しています。ハイブリッド教材を増やすことは、学生が真剣に講義を聞かなくなることや、対面講義を欠席する学生が増えるなどの懸念点が挙げられますが、講義当日は先週受けた講義アンケートに対するフィードバックを行う時間帯を設けており、それは録画に含まれない当日・対面のみのコンテンツとすることで対面講義参加のインセンティブを確保しています。未来はキミたちに託されている

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る