創造選抜 過去問題
29/72

令和6年度 千葉工業大学 総合型(創造)選抜 次の文章を読み,下の問1〜4に答えよ。 メタン(CH4)は天然ガスの主成分であり,燃料として,その燃焼によって得られる熱エネルギーが火力発電などに利用されている。さらにCH4は,水蒸気(H2O)と反応させる水蒸気改質によって水素(H2)を製造するためにも用いられている。水蒸気改質は,次式で表される: CH4 + H2O → CO + 3 H2 水蒸気改質などで得られる(a) H2は新しいエネルギー資源 として期待される。一方で,CH4を合成する反応として,二酸化炭素(CO2)と水素(H2)を用いるメタネーションがあり,次式で表される: CO2 + 4 H2 → CH4 + 2 H2O メタネーションは,温室効果ガスのひとつである(b) CO2を分離回収・有効利用・貯蔵する技術 の一環として,気候変動の緩和に寄与する可能性を秘めている。水蒸気改質やメタネーションなどの化学反応では,原子間の結合が切断・生成することで,分子内の化学結合の組み替えが起こる。分子内の結合を切断するのに必要となるエネルギーを結合エネルギーと呼ぶ。いくつかの代表的な共有結合に対する結合エネルギーの値を以下の表に示す: 共有結合の種類 結合エネルギー [kJ/mol] 問1 1 mol のCH4が完全燃焼するときの反応熱(燃焼熱)の値を答えよ。また,その値を導いた過程について説明せよ。 問2 ある装置で,CO2とH2を温度が400 ℃ の状態に置いたとき,CH4を合成するメタネーションが効率的に進行した。一方で,同じ装置を用いて温度を800 ℃ まで上昇させた場合,CH4がH2Oと反応してH2を発生する水蒸気改質が優先的に進行した。この装置で,低温領域ではメタネーション,高温領域では水蒸気改質が優先的に進行するのはなぜか。その理由を説明せよ。問3 本文中の下線部(a)に関連して,H2をエネルギー資源として用いるときのメリットとデメリットにはどのようなものがあるか。説明せよ。 問4 本文中の下線部(b)に関連して,CO2を分離回収・有効利用・貯蔵する技術にはメタネーションの他に,どのようなものがあるか。具体例を一つ答えて,その技術のしくみを説明せよ。 O−H C−C 463 330 C=O 804 H−H C−H 436 416 工学部 応用化学科 エネルギー・環境問題における化学の役割について講義をおこなう。講義の間,配付したA4用紙にメモを取ることができる。講義した内容をふまえて,問題に答えるための発表(試験2日目に実施)用資料を作成せよ。発表資料の作成時間は60分間とし,5〜6枚程度のA4用紙を用いて,内容を分かりやすくまとめること。問題 C≡O O=O 1079 498

元のページ  ../index.html#29

このブックを見る